ソフトバンクの甲斐
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 ソフトバンクの正捕手・甲斐拓也がFA権を行使した。ソフトバンクは宣言残留を認めて引き留める意向だが、甲斐は他球団と交渉の席に着いた上で結論を下すことになりそうだ。

【写真】FAの人的補償で移籍して開花したのはこの選手

巨人が獲得に乗り出して、ソフトバンクと一騎打ちになる可能性が高い。甲斐がよい捕手であることは間違いないですが、他球団からすると、今季の推定年俸2億1000万円で、人的補償がつくのがネックになります。伸び盛りの捕手がいる球団は多いですし、獲得に慎重になるのかもしれません」(スポーツ紙デスク)

 甲斐が球界を代表する捕手であることに異論はないだろう。育成入団ではい上がり、ソフトバンクが17年から4年連続日本一となった黄金時代を支えた。「甲斐キャノン」と称される強肩で、広島と対戦した18年の日本シリーズではシリーズ新記録の6連続盗塁阻止で広島の機動力を封じ、育成出身初のMVPに輝いている。その後も扇の要としてチームを牽引してきたが、小久保裕紀監督が就任した今年は投手との相性を重視した起用法となり、出場は119試合に減少。ただ、首脳陣は甲斐に負荷がかかりすぎないようにしたいという思惑があっただろう。日本シリーズではDeNAに敗れたが、レギュラーシーズンは貯金42という圧倒的な強さで4年ぶりのV奪回を飾った立役者の一人だ。

 福岡のテレビ関係者は「甲斐は今年の起用法に不満を持ってFA権を行使したわけではないですよ。昨オフの契約更改で、球団から提示された複数年契約を断って単年契約を結んでいる。この時から一選手として他球団の評価を聞きたいという純粋な思いがあったのでしょう」と推察する。

甲斐を獲得すると巨人の捕手は飽和状態

 巨人は阿部慎之助監督が就任した今季、捕手の起用法がガラッと変わった。昨年まで不動の正捕手だった大城卓三が先発マスクをかぶる機会が減少し、岸田行倫、小林誠司と3人を併用した。今オフにFA権を保有して、去就が注目されていた大城は残留を決断した。もし、甲斐の獲得に成功したならば捕手陣は飽和状態となるため、人的補償の対象から外す「プロテクト枠」から漏れる選手が出てくることが予測される。

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大きな波紋を呼んだ2018年の巨人からの人的補償