巨人を取材するスポーツ紙記者は、「このメンバーだと、小林がプロテクトから外れる可能性があると思います。今年は同学年の菅野智之が登板する試合にすべて先発マスクをかぶり、菅野の完全復活に大きく貢献しましたが、菅野は海外FA権を行使してメジャー挑戦の意向を表明しています。小林は来季の出場機会が減少することが避けられない。甲斐と同じ『守備型の捕手』であることもどう作用するか」と指摘する。
人気選手が人的補償で去りかねないリスク
「プロテクト枠」の28人を決めるのは非常に難しい。主力選手のほか、若手の成長株を入れると、あっという間に枠が埋まってしまう。分が悪くなるのがベテラン勢だ。巨人では、過去にFAの人的補償で大きな波紋を呼んだケースがあった。
18年オフに巨人がFAで西武の炭谷銀仁朗(現西武)と広島の丸佳浩を獲得した際、人的補償で、西武には左腕エースとして一時代を築いた内海哲也(現巨人1軍投手コーチ)が移籍、広島にはスター選手だった長野久義(現巨人)が移籍した。内海、長野はいずれも主力選手としてチームに貢献し、巨人ファンから絶大な人気を誇っただけに、プロテクト枠から外した球団の判断に批判の声もあがった。
他球団の編成担当は、「この時の巨人の判断は理解できる」と振り返る。
「内海、長野が功労者であることは間違いない。ファンの感情は理解できますが、戦力として考えた時に内海は下降線に入っていたし、長野も外野の絶対的レギュラーではなくなっていた。30代中盤という当時の年齢を考えると、大きな伸びしろが望めるわけではない。シビアな見方をすると、FA補強をすれば、人気選手が人的補償でチームを去るリスクがあるということです。あとは読み合いですね。他球団の戦力を見た時に、このベテランをプロテクト枠から外しても獲らないだろうと判断するケースがあります」
巨人は甲斐だけでなく、FA権を行使した阪神・大山悠輔の獲得にも動く可能性が高い。大山は今季の推定年俸2億8000万円で、甲斐と同様に獲得球団は人的補償が必要となる。巨人が甲斐と大山の両獲りに成功した場合は、プロテクト枠を両球団に提出しなければいけない。