このほかにも、欧州ならば英2000ギニーを制したサクソンウォリアーや仏ダービー馬となったスタディオブマン、豪州では日本から移籍後にエミレーツステークスでG1初制覇を果たしたトーセンスターダムなどが活躍して種牡馬入りしている。
いずれも最高傑作と呼ぶにはやや実績不足ではあるが、世界でのディープインパクト系発展の一翼を担う。特にサクソンウォリアーは9月に初年度産駒のヴィクトリアロードが仏2歳G3コンデ賞を勝つ幸先のいいスタートを切っているだけに期待が高まっている。
最後はディープインパクトのラストクロップの話題で締めよう。日本でのディープ最終世代はわずかに6頭。その1頭であるオープンファイアは2021年のセレクトセールで3億円の高値で落札され、今年9月に見事なデビュー勝ちを飾った。また、2005年に宝塚記念を勝った名牝スイープトウショウ産駒でもあるスイープアワーズもデビューを待っている。
ただし現時点(9月28日)での出世頭は日本ではなく欧州にいる。スノーフォールが在籍していたオブライエン厩舎が管理するオーギュストロダンだ。デビュー戦こそ2着だったが、2戦目からは2連勝で愛G2チャンピオンズジュベナイルステークスで重賞制覇を達成している。
順調なら来年は英2000ギニーや英ダービーなどクラシック路線に乗るはず。母親はロッキンジステークスなど3年連続G1勝ちのロードデンドロンという超良血馬でもあり、ディープ最後の大物はこの馬になるのかもしれない。
果たしてオープンファイアやオーギュストロダンは、ジェンティルドンナやコントレイルを超えるディープインパクト産駒の最高傑作となり得るのか。2019年にこの世を去ってもなお日本のファンに夢を贈り続けているディープインパクトの忘れ形見に今後も注目しておきたい。(文・杉山貴宏)