この活躍が認められ、プレミア12で侍ジャパンに初選出されると、11月13日、初戦のオーストラリア戦で登板。5―3と2点差に追いあげられた状況だったが、3者連続三振を奪って、相手に傾きかけた試合の流れを断ち切り、勝利に貢献した。
「直球は150キロ前後と目を見張る速さではないが、回転数が多くホップ成分が多いので、打者は直球と分かっていても振り遅れる。中継ぎに回り、全力で腕を振れるので完全にハマっています。フォークの精度も上がったのでなかなか打てない。制球で崩れる心配がないのも強みです。メジャーは救援の台所事情が苦しい球団が多い。先発に比べてリリーバーの日本人投手は少ないですが、これから増えていくと思います。藤平はまだ実績が少ないですが、来年以降も活躍を続ければ、評価がさらに上がると思います」(メジャーリーガーの代理人)
被本塁打ゼロの国立高専出身投手
メジャー西海岸のスカウトが「お気に入りの投手」と話すのが、阪神の石井大智だ。
国立秋田工業高専から、独立リーグを経て阪神に入った変わりダネの27歳。国立高専卒のプロ入りは史上初だった。身長175センチと上背はないが、藤平と同様に球威十分の直球で空振りが取れる。「勝利の方程式」に不可欠な存在になり、プロ4年目の今年は中継ぎで56試合に登板し、4勝1敗1セーブ30ホールド、防御率1.48をマーク。48回2/3で58三振を奪った。
石井の名を挙げたスカウトは、こう絶賛する。
「阪神はクオリティーの高い投手がそろっているが、石井は安定感が際立っている。今年は被本塁打がゼロだったデータが示すように、直球が速いだけでなく重さを感じる。上背がなくてもマイナスポイントにはなりません。ドジャースの山本がメジャーで力を証明していますしね。むしろ、上背がないことを利用して浮き上がるような直球を投げ込める。体も頑丈だし、こういう投手がブルペンにいると助かります」
投手の評価が高い一方で、米国でプレーするNPB出身の野手はまだまだ少ない。投打の二刀流で活躍する大谷を除き、メジャーでプレーする日本人野手は、鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)のみ。村上宗隆(ヤクルト)が来オフにメジャー挑戦する可能性が高く、岡本和真(巨人)はポスティング・システムを利用するか動向が注目されるが、ほかにメジャーの評価が高い選手はいるだろうか。