仕事をくれる人のところに行くスタイル
pha:インターネットをやっていく中で、どれに対して一番やる気を持っていますか?
品田:特にどれというのはないのですが、何事に対しても頼まれたら絶対にやるというところが私のモチベーションになっています。今振り返ってみれば、人に見せる用の文章を書き始めたのは高校生の頃でした。
演劇部に入ったときに、先輩から「お前は脚本を書け」と言われ、「書きます!」と言ったのが始まりです。もちろん、芝居の脚本なんて書いたことがありませんでしたが、「文章が書けそうに見える」と言われたので、「わかりました!」と二つ返事で引き受けることとなりました。
初期衝動というより、仕事として書く感覚がその頃から身についていたのかもしれません。また、この頃、演劇部のほかに文芸部も兼部していたのですが、そのとき書いていた合同誌の締め切りが定期的にあったため、こちらも「書け」と言われて当たり前のように「書く」という感覚がそのときすでに養われていましたね。
pha:意外と社会性のある環境下で書いてきたんですね。
品田:そうなんですかね。社会の後押しがないと構想の段階から甘えてしまい、エターナルな構想の中で安住してしまうところがあるので、「仕事をくれる人のところに行く」というスタイルが確立されたのかもしれません。
逆に、phaさんはどうですか? 今もコラムなどのお仕事で書かれていると思いますが、仕事がなくても定期的に書き続けることはできますか?
pha:僕はわりと自分の中のモチベーションだけで書き続けられるタイプですね。むしろ仕事としてやるのは不純だ、と感じてしまう部分があったりします(笑)。でも、完全にひとりでやるより編集者といっしょに作ったほうが、遠くまで届くものができる感じもあるので、迷いますね。仕事もやりつつ、ときどき100%趣味で何かを作るのがいいのかも。人によってアプローチや仕事のやり方、きっかけが異なるというのは面白いですね。
※後編「【品田遊×pha】異色の二人が異色の対談!実は悲観的な品田が、それでもテキスト文化を盛り上げたい理由」につづく
(構成/中山圭)