意外にも、phaさんと直接お話しするのは初めてだという品田さん(撮影/中山圭)
意外にも、phaさんと直接お話しするのは初めてだという品田さん(撮影/中山圭)

“しゃあなし”で書き続ける理由

品田:phaさんは短歌を書きますよね? 私の周りにも短歌を書いている人はいるのですが、「何で書いているんですか?」と聞くと、皆一様に「何でですかね〜」と言うので、要領を得ない感じがしてしっくり来ないんです。まあ確かに私も、周りから「何で日記を書いているんですか?」と問われたら、「何なんすかねー」とお茶を濁すようなことしか言えないのですが。

pha短歌なら短歌、日記なら日記という型があって、それが自分の中に身についていると、自然とその型に沿ったアウトプットが出てくるようになるんですよね。でもその型を共有してない人からすると、何でそうなるのだろう、と不思議に思われるんでしょうね。短歌は、僕は若い頃に型を身につけたので書ける感じです。

品田:私の場合、日記は書けるから書いているということと、書く約束をしたから書いているわけであって、実は半分“しゃあなし”という気持ちがあります。といいつつ、日記を書くことは、同じ“しゃあなし”でも、かなりストレスの少ない“しゃあなし”なのでやれている部分はありますね。

pha心から書きたいとかではなく、“しゃあなし”だったんですね。意外。でも確かに、僕も心から日記を書きたいかというとそうでもなくて、でも書かなくなったら寂しいとか、書かないともったいない、とかそういう気持ちが出てきそう。実際やめたら、毎日書かずに寝ていいんだとか、日中も日記のことを考えなくていいんだとか、そう思って落ち着かなさそう(笑)。

品田:それわかります! もう日記を書かない生活のこと自体を忘れているので、周りの人たちは普段日記を書かないで寝ているんだなぁとか思ったりしますね。

 私自身、締め切りに追われる生活を10年近くやっているので、普通に働いて、普通に家帰って生活している人たちって締め切りというものがない場合が多いんだなぁとかも考えることがありますね。もちろん、そのことを羨ましいと思っているわけではないのですが……どちらにも大変さはあると思いますけどね。

phaそういった生活が良いのか、当たり前のように書くという生活が良いのか、もう我々はわからなくなっちゃいましたね。自分にやれることをやっていくしかない。

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