今年のパ・リーグはソフトバンクが首位を独走。日本ハムが2年連続最下位から2位に躍進。激しい3位争いをロッテが制してCSに進んだ一方で、Bクラスに沈んだ3球団はいずれも監督が交代することになった。2024年のパ・リーグ各球団を率いた監督の「通信簿」を、プロ野球取材歴15年の記者がつけさせていただいた。(順位は評価順。※は今年のシーズン成績)
【1位】評価:A+ 日本ハム・新庄剛志監督 (※リーグ2位、75勝60敗8分、勝率.556)
貯金15を積み上げたとはいえ、首位・ソフトバンクに13.5ゲームの大差をつけられたため、1位という評価には否定的な声があるかもしれない。ただ、「育成と勝利」を両立して、就任3年間で監督の野球をナインに浸透させ、見事にチームを変えた手腕は高く評価されるべきだろう。今年は田宮裕涼、金村尚真、福島蓮、柳川大晟ら若手が台頭。FAで加入した山崎福也が2ケタ勝利を挙げ、郡司裕也、水谷瞬ら移籍組も覚醒した。新庄監督の最大の功績は低迷期が続いたことで、チーム内に流れていた「ぬるま湯体質」を払拭したことだろう。走塁、守備に対する意識を高め、チーム内の競争がハイレベルになった。選手層が厚くなったことで作戦の選択肢が増え、勝負所で代打、代走の采配も冴えわたった。「大航海」は続く。来季は本気で優勝を狙う。
【2位】評価:A ソフトバンク・小久保裕紀監督(※リーグ1位、91勝49敗3分、勝率.650)
監督就任1年目でシーズン最多の91勝をマークし、4年ぶりのV奪回を飾った。FAで獲得した山川穂高が4番で軸になり、近藤健介を5番に据えた起用法も的中。白星を積み重ねられたのは充実した戦力だけでなく、小久保監督のプロ意識の高さも大きな要因だろう。首位を快走している時期もミスには厳しい姿勢を見せ、主力選手に名指しで苦言を呈することも。正木智也、川村友斗ら若手を抜擢した手腕もプラスポイントだ。惜しまれるのは、DeNAと対戦した日本シリーズ。2連勝の後に4連敗を喫した。投打に精彩を欠き、負けられない試合が続く中での首脳陣の発言、継投策などベンチワークに疑問が残った。来季は5年ぶりの日本一を目指す。