和田靜香さん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・和仁貢介)
和田靜香さん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・和仁貢介)

 おかしいことは「おかしい」と、時には怒り続けることも大事だと思うんです。罪を犯した人が政治家だろうがタレントだろうが経営者だろうが、公正に裁かれるべき。誰もが公平だと思える結果になってほしい。

安田:問題は解決していないのに、見ようとしない。知ろうとしない。真剣に怒っている人の声に耳を傾けない。そういう人たちこそ“情弱”だろうといいたいですね。

 例えば沖縄で新基地建設に反対して座り込んでいる人たちだって、戦争経験などいろんな記憶や思いを抱えている高齢の方々なんですよ。それを中傷してあざ笑う風潮がある。真剣に怒ると「えー? 何怒ってるの? なんか怖くね?」で片づける。

 女性や障がい者に関係する問題も、人種・民族差別の問題もみんな同じ。「あざ笑ったもの勝ち」にして、人の真剣な声を無効化してしまう。あれは何を根拠にした優越感なんだろう。政治を語ること自体がものすごく忌避されている気がする。和田さんが身を置いている音楽業界にも「音楽に政治を持ち込むな!」とか言われません?

和田:よく言われます。不思議なことに、テイラー・スイフトとかブルース・スプリングスティーン、ボブ・ディランとか、海外のアーティストが政治的なことを言うと「素敵!」って言われる。でもキョンキョン(小泉今日子さん)が政治的なことを言うと急に「クスクス……」「やぁね……ヒソヒソ……」みたいになるんですよね。

安田:芸能人は芸のことだけやってればいい、政治なんかに首を突っ込むなっていう風潮は常にある。いいじゃないか、政治を歌ったって。ミュージシャンの中にも意見のある人はいるはずだし、むしろ成功しているがゆえに発言の機会を奪われている人もいると思う。

 今の日本って、政治をまじめに語ることがタブーになってるとさえ思いますね。一見、政治を語っているようで政局を語ってるだけ。“政治記者ごっこ”をしてるだけで、政策の話をしていない。

和田:もっと地に足がついた、生活に直結した切実な問題から考えればいいのに。

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