「なぜ、マリービスケットは値上がりしたのか」「1機140億円もする戦闘機は、本当にそんなに必要なのか?」。関心はあれども、政治についてまったくわかっていなかった“一般市民”、ライターの和田靜香さんが衆議院議員・小川淳也氏(立憲民主党)と繰り広げたガチンコ対話。2021年の発売当時、大きな話題を呼んだ単行本『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』(左右社)が、特別編『戦争を起こさないために あれから3年』を加筆してついに文庫化! 国内外とも政情不安にある今こそ考えたい、暮らしと政治、民主主義とは? 著者・和田靜香さんとノンフィクションライター・安田浩一さんとのスペシャル対談の第3弾をお届けする。
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他人事ではない、非正規労働者を取り巻く問題
安田:和田さん自身、フリーライターであると同時に、アルバイトをいくつも掛け持ちして暮らしてきた。この、非正規雇用の問題っていうのは、誰にとっても切実ですよね。それこそ、政策として取り組まねばならない課題がたくさんある。和田さんも本書に書いておられるとおり、一昔前まで「非正規労働者」といえば、工場労働者のイメージでしたね。
和田:「年越し派遣村」のときの工場を雇止めされた男性たちのイメージを持っている方も多いと思いますが、今の事情は全然違います。首都圏のこぎれいな高層ビルのオフィスの中にも、お役所にも学校にも非正規の人なんていくらでもいるんですよ。正社員と同じような仕事をしているのに、給与は低いし身分は安定しない。社会保障も満足に受けられない。
安田:特に強く意識しなきゃならない事実として、非正規雇用の人には女性が多いんですよね。
和田:事務系の仕事からエッセンシャルワークまで、圧倒的に女性が多いです。小川さんにも問いかけてみたんだけど、日本社会の中で女性がどんな負担を強いられてるかっていうことに関しては、意識がなかなか及ばないというか、女性でないとピンと来てもらえないなと感じました。やっぱり男性の政治家には難しいのかなと感じ、女性の政治家を増やしたい!と強く思ったんです。
選挙ではみんな「非正規雇用問題も何とかしないといけない!」って訴えるけど、じゃああなたたち、非正規雇用の人たちがどんな仕事をしていて、どんな気持ちで生きているのか、知ってます? って聞きたいですね。