田舎暮らしは「忙しい」
――ご両親と凛太郎くんの4人で暮らす生活はいかがですか。
息子は今年4月で高校3年生になります。将来の夢とかはまだ決まっていないみたいですが、大学に入学したら親元を離れる可能性が高いのでちょっと寂しいかな。ただ、いつでも戻ってこられる場所として、この家を考えてくれればとは思っています。実家と疎遠になる子どもも多いじゃないですか。そうじゃなくて、奥さんや子ども、孫を気軽に連れてこられるような温かい場所であり続けたいなと思います。
――子育てで大変だったことはありましたか。
じいじ、ばあばに助けてもらいましたし、あっという間でしたね。これからは(座学の)勉強、勉強という時代じゃないと思うんです。勉強も大事だけど、自分がこだわること、好きなことの延長が仕事につながる時代になっていくだろうと。子どものときから自然に囲まれて生活して、モノ作りに関わった経験は今後の人生で必ず役に立つと思います。ネットが普及して知識を得るための選択肢が増えていますし、(教育面で)田舎暮らしがハンディになるとは思わないですね。
――コロナ期間を経て、田舎で暮らす2拠点生活に憧れる人が増えています。
昔はお金を使って幸福感を得ることが当たり前でしたけど、今はモノ作りで精神的な幸福度が上がったり、その価値が見直されてきている。昔の人は当たり前にしていた生活ですけどね。サステナブル(持続可能な)という言葉が浸透してきていますが、多くの人たちが地球に優しい生き方を考えるのは、自然な流れなのかもしれません。自分と向き合うことでどういう生き方をしたいか。私は自分を磨いて夢を実現させる場所が東京だったけれど、子どもが生まれて人生の幸せを見つめ直したときに生活する場所は大分だった。考え方はそれぞれだと思いますし、自分の軸を大事にしてほしいですね。田舎暮らしはのんびりしているイメージがあるかもしれないですが、忙しいですよ(笑)。作物を植えたり、季節の野菜を収穫したり、料理したり、保存食の仕込みをしたり。じいじやばあばに教わりながらやっています。