衆院選が終わってトップへの批判がうずまき、“党内政局”で忙しいのは自民党だけではない。議席減となった日本維新の会でも、馬場伸幸代表への批判や「馬場おろし」の声が高まっている。突き上げの声を受けて、維新は10月31日の常任役員会で、代表選を早期に行う手続きに入ることを決めた。
「衆院選のあとは党内政局、内紛でたいへんですよ。また分裂かもしれない」
こう沈痛な表情で話すのは、維新の衆院議員A氏だ。
10月27日の衆院選で、自民党と公明党の連立与党が215議席と、15年ぶりに過半数(233議席)を割る大敗を喫したが、勝利にわく野党の中で、維新は改選前の44議席から38議席と6議席減らした。小選挙区では大阪の19選挙区すべてで勝利したものの、大阪以外では4議席獲得したのみ。とくに東日本は全敗だった。より衝撃的だったのは比例票で、前回衆院選(2021年)は約800万票だったが、今回は約510万票と300万票近く減らした。
維新の共同代表でもある大阪府の吉村洋文知事は28日の会見で、
「他の野党が躍進する中で、大阪以外は野党の中で1人負け。与党が過半数割れするような選挙で、議席を減らした。非常に厳しい結果だ」
という認識を示した。大阪の小選挙区で全勝したことについても、
「積極的に何か強く支持されたとみるべきではなく、裏金の自民党の政治よりはまともと、実績がある大阪だけは自民党の受け皿になりえただけ。全勝だからと勝利したという感触ではない」
と厳しい見方だった。
一方、馬場伸幸代表は選挙後、
「与党の過半数割れは、維新がその一翼を担った」
「いいトレンドが生まれている。(結果が)すべて悪いわけではない」
などと満足そうに発言。両代表の認識の違いが浮き彫りになった。
馬場代表に突き付けられた辞任要求
維新の浅田均参院会長は30日、国会議員団役員会で、
「大惨敗の責任を取って辞意を」
と、馬場代表と選挙責任者である藤田文武幹事長に辞任を要求した。馬場代表は、辞任を否定し、代表選を早期に実施する必要はない、という考えを示した。
だが、吉村知事も、「首班指名の前に代表選をやるべき」と発言。31日の常任役員会で、代表選を12月1日にも実施する方針が決まった。
「馬場代表が代表選を行うというのも、批判の声が高まり、吉村知事の発言も受けて、急遽、会見を開いて表明せざるを得なかった」(前出のA氏)