「ヒリヒリするような戦いを楽しんでいるように感じます。侍ジャパンで世界一に輝いたWBCもそうですが、大舞台で重圧を力に変えられる。低迷期が続いていたエンゼルス時代は葛藤があったと思います。昨年は自身初の本塁打王に輝き、投手でも10勝を挙げて2度目のア・リーグMVPを受賞したが、9年連続でプレーオフ進出を逃した。勝利への飢えが一層強くなった時にドジャースへ移籍したことで、本気で世界一を狙える充実感が潜在能力を引き出しているように感じます」
昨年9月に受けた右肘手術のリハビリのため、打者に専念した今季は新天地で打率・310、54本塁打、130打点をマーク。首位打者は逃して三冠達成はならなかったが、本塁打王と打点王を獲得した。メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成し、ナ・リーグMVPの有力候補に。
ポストシーズンでも勝負強さが光る。パドレスとの地区シリーズ第1戦で1号3ランを放った後に長打がなかなか出なかったが、ナ・リーグ優勝決定シリーズのメッツ戦3戦目で、8回に弾丸ライナーで右翼ポール際に特大3ランを放つと、4戦目は左腕のホセ・キンタナから右中間に先頭打者アーチ。ポストシーズンで走者なしの打席は25打席連続無安打だったが、26打席目で初めて快音を響かせた。21日の6戦目も6回に中前適時打を放つなどマルチ安打の活躍で勝利に貢献。ナ・リーグ優勝決定シリーズの6試合は打率・364、2本塁打、6打点。出塁率・548と申し分ない数字でメッツを4勝2敗で下し、ワールドシリーズに進出した。(ライター・今川秀悟)
※AERA 2024年11月4日号より抜粋