麻生太郎副総裁

 80歳を超える麻生氏と二階氏がそれぞれ会長を務める麻生派と二階派にも分裂の芽が生じようとしている。

 麻生派は「麻生氏が引退すれば、鈴木俊一財務相、河野デジタル相、甘利明前幹事長の3グループに分裂し、残りは岸田派に流れる」(麻生派関係者)とみられている。

 二階派では、派の継承に意欲を見せる武田良太元総務相と反武田氏グループの対立が深まっており、二階氏が退けば「安倍派への合流組を含めて、少なくとも三つに割れる」(二階派関係者)。

 茂木派も安泰ではない。茂木氏が総裁選出馬に踏み切れば、派に影響力を持つ青木幹雄元党参院議員会長に近い勢力は離れ、新たな結集軸として、かつて「竹下派七奉行」の一人として鳴らした梶山静六元官房長官の長男で無派閥の梶山弘志党幹事長代行を迎え入れるものとみられている。

 ある政界関係者は「派閥の合従連衡に明け暮れていては政治離れは加速する。もっと有権者の心をつかむ努力をする必要がある」と苦言を呈する。

 岸田首相は自らのシナリオどおりに解散含みで政局を主導していくのか。「改憲」という重大事項までもが政局の道具にされかねない局面だけに、よくよく注視していかなければならない。

(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2023年4月21日号

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