「北國新聞」の一面はユニークだ。他紙のように共同電を載せることはまずない。
「北國新聞」の一面はユニークだ。他紙のように共同電を載せることはまずない。

<県政は振り回さないで馳浩>

 前田家によって京都から持ち込まれた茶道は庶民にも広まった。竹森によれば、今も普通の家々で茶をたてる習慣があり、取材のときに抹茶をご馳走になることもあるという。

 ああ、そうした金沢の文化が受け継がれて、母(第36回参照)も茶を志すようになったのだな、としみじみとした気持ちになった。

 そして歴史。4月下旬から竹森らがとりくむ新連載は、前田家の前の時代になる。金沢は武家の街であっただけでない。その前は百姓の国だった。それを掘り下げる。

 加賀一向一揆。連載のタイトルは、この地を訪れた蓮如上人の息子実悟の書いた『実悟記拾遺』の記述からとっている。

「百姓ノ持チタル国の百年」

「北國新聞」、その編集は融通無碍(むげ)。

下山 進(しもやま・すすむ)/ ノンフィクション作家・上智大学新聞学科非常勤講師。400字×70枚の書き下ろし新章「新聞vs.プラットフォーマー」を加えた文庫版『2050年のメディア』が文春文庫で発売中。

週刊朝日  2023年4月21日号