街頭に立っていた斎藤氏に「石丸方式」について聞いたところ、
「SNSで発信しますが、(石丸さんのような)戦略的というか、そんな感じではない。流れでやっていくだけ」
といい、ネット選挙の専門家をつけたのかとさらに聞くと、
「いや、ありませんよ」
と話した。
知事選とともに進む疑惑追及の百条委員会
この斎藤氏には、知事選の告示前に“関門”がある。
兵庫県議会の文書問題調査特別委員会(百条委員会)は、斎藤氏らが内部告発された問題の調査を続けている。10月24、25日に開催される委員会では、阪神とオリックスの優勝パレードの寄付金集めの疑惑について追及が予定されている。ただし、知事選に影響を与えないよう考慮して、斎藤氏本人の証人としての出席要請は見送られた。
内部告発では、優勝パレードに必要な金額を寄付で集めようとしたが集まらなかったため、信用金庫への県補助金を増額し、寄付としてキックバックさせたと指摘されていた。AERA dot.編集部の取材では、片山安孝前副知事が、パレード直前に兵庫県内の金融機関に出向いて寄付を要請し、その一方で兵庫県から金融機関へ補助金を約束するという「寄付と補助金はセットだった」という金融機関幹部の証言を得ている。(記事参照)
「内部告発された疑惑の中でも、優勝パレードに伴う寄付金は検察や警察が動く可能性があり、最大の焦点。知事選が終われば、斎藤氏が当選か落選かは別にして、本人を百条委員会に呼んで徹底追及することになる」(自民党の兵庫県議)
AERA dot.編集部が新たに入手した兵庫県の資料に、片山氏の公用車の運行記録がある。
それによると、パレード前日の23年11月21日には、片山氏が公用車を使用し、
〈加古川市加古川町溝之口 往復〉
という記載があり、兵庫県庁から加古川市の但陽信用金庫本店とみられる場所に行っていたことがわかる。
但陽信用金庫もその日に片山氏が、
「直接、本店に来られ優勝パレードの寄付を依頼された」
という趣旨をAERA dot.編集部の取材に認めている。
また、内部告発を知った斎藤氏に告発者探しを依頼された片山氏が、元西播磨県民局長に対して、
「何言うとんねん、お前、(内部告発を)作った覚えないと言い張るんか」
「最後まで知らんて言い張る? 嫌疑かけとんや」
などと恫喝のような事情聴取をしていたことが百条委員会で問題になった。
片山氏が問題の恫喝の日、3月25日の朝8時50分に公用車を使い、
〈上郡町光都 往復〉
という西播磨県民局の所在地に言った記録も資料にはある。
斎藤氏や片山氏らの動きを証明する材料は、百条委員会にも集まってきている。
「知事選が終われば(百条委員会で)手を緩めず徹底的にやるしかない。万が一、斎藤氏が知事に再度、当選しても同じや」(自民党県議)
斎藤氏には、知事選とともに、百条委員会の審判が待ち受けている。
(AERA dot.編集部・今西憲之)