維新の辞職勧告にも辞職しない意向を示した斎藤元彦知事
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 兵庫県の斎藤元彦知事は9月9日、2021年の知事選で推薦を受けた日本維新の会の共同代表・吉村洋文大阪知事から辞職勧告を受けたが、応じなかった。県議会は全会一致で辞職を求める動きを見せている。後がなくなってきた斎藤知事だが、たとえ知事を辞職したとしても、それで終わりではない。いくつかの疑惑については、刑事事件に発展する可能性が残っている。

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 斎藤知事の数々の疑惑のなかで、実は事件性が高いと言われるのが「阪神オリックスの優勝パレードの寄付金集めのため、金融機関に補助金をキックバックさせた」という疑惑だ。AERA dot.編集部は、この疑惑について、ある金融機関幹部から重要な証言を得ることができた。

犯罪捜査のような告発者捜し

 9月6日、兵庫県議会の文書問題調査特別委員会(百条委員会)で片山安孝前副知事が証言に立った。

 元県民局長が作成した内部告発文書を斎藤知事が入手した後、その文書を誰が作ったかを調査したことについて、片山前副知事は、

「知事の指示だった。誰がどういう目的で出したか、『徹底的に調べてくれ』と言われた」

 などと証言。元県民局長の公用パソコンを押収するとともに、「疑わしい」と見立てた複数の県職員のメールの内容を調査したり、スマートフォンの中のLINEのやり取りを写真で撮影したりするなど、犯罪捜査のような徹底した告発者捜しをしていた経緯が明らかになった。

 この日の委員会の調査テーマは、公益通報制度からみた斎藤知事や県の対応の妥当性と、斎藤知事が贈答品を多数受け取っているという、いわゆる「おねだり」疑惑だった。だが、その枠を越えた質問が、竹内英明県議(ひょうご県民連合)から飛び出した。

 元県民局長の告発文書には、阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードをする際、寄付の集まりが芳しくなかったので、信用金庫など金融機関向けの県補助金を増額し、それを寄付として金融機関からキックバックさせた、という内容が記されている。

 竹内県議は、その疑惑に切り込んだ。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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