人気女性騎手だった藤田菜七子(27)の電撃引退は、世間に大きな波紋を広げた。引退の背景にはJRAの規則違反による騎乗停止処分があったとされるが、引退から1週間以上たった今も、ネット上には「気分悪い辞め方」「自業自得」といった批判が書き込まれている。なぜ、藤田はここまで厳しい非難を浴びてしまうのか。世間が抱く“許せない”という感情の根源を専門家に分析してもらった。
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JRAが「重大な非行」と認定したのは、藤田のスマートフォンの不適切利用だ。JRAの騎手は八百長などの不正防止の観点から、競馬開催前夜は調整ルームと呼ばれる宿泊施設で過ごし、外部との接触を絶つよう定められている。しかし藤田は、これまで複数回にわたり調整ルームにスマホを持ち込み、通信していたことが発覚した。
藤田といえば、2019年に女性騎手初となるJRA重賞制覇を果たすなど実力が評価される一方で、そのかわいらしい容姿から“菜七子フィーバー”を巻き起こしてきた。騎手としては異例の写真集が発売されたり、「黒髪美人大賞」(柳屋本店主催)を受賞したりと、まさにアイドル的な人気を誇っていた。
そんな中、突然の不祥事発覚と引退に、世間からは驚きと落胆の声が上がった。X上では「嘘だろ。菜七子を応援するためにあちこち行ったんだぜ」などとファンから悲鳴が上がる一方で、「正直がっかり」「身勝手すぎる」といった失望や非難の声も相次いだ。
フィーバーから一転、“菜七子バッシング”が巻き起こる背景には、どんな要因があるのか。
吉本興業で宣伝広報室を設立し、現在は危機管理コンサルタントとして活動する“謝罪マスター”こと竹中功氏(65)は、「炎上する条件がそろってしまった」と分析する。その上で、まず指摘するのは「かわいさ余って憎さ百倍」という人間心理だ。
「藤田さんは、その清楚さやひたむきさで多くのファンを魅了し、競馬界を引っ張るスターとして注目されてきました。その期待が不祥事という形で裏切られると、『今まで応援してきた時間と労力、お金を返してくれ!』とアンチに変貌するファンが出てきてしまうのです」