◆大阪府立北野高校
1920年、柏尾誠一郎(かしお・せいいちろう)はオリンピックアントワープ大会テニス男子ダブルスで銀メダルを獲得した。日本人として史上初のオリンピックメダリストとなった。柏尾は1892年生まれで、北野高校の前身、旧制大阪府立北野中学校の出身である。柏尾がオリンピックでもう一つ勝って金メダリストとなれば、北野高校は「三冠王」となった。
2019年、吉野彰はリチウムイオン二次電池の開発などでノーベル化学賞を受賞した。吉野は1948年生まれ。1966年に北野高校を卒業し、京都大工学部石油化学科に進んだ。
1945年10月、幣原喜重郎(しではら・きじゅうろう)が内閣総理大臣の座に就いた。幣原は1872年生まれ。北野高校の前身の官立大阪中学校、第三高等中学校(現、京都大)、東京帝国大学法科大学を経て外交官になった。駐米大使などを歴任して政界入りし、外務大臣をつとめている。
◆福井県立藤島高校
1934年、岡田啓介は内閣総理大臣に就任した。二・二六事件では陸軍の一部反乱兵に襲撃されたが、奇跡的に難を逃れている。岡田は1868年生まれ。藤島高校の起源となる旧制福井県福井中学校を卒業し、海軍兵学校に入った。
2008年、南部陽一郎は「自発的対称性の破れ」の発見によってノーベル物理学賞を受賞した。南部は1921年生まれ。旧制福井県立福井中学校を経て旧制第一高等学校(現、東京大)、東京帝国大学理学部物理学科に進んだ。その後、アメリカに渡り、シカゴ大で長く研究を続けていた。
1992年、中垣内祐一(なかがいち・ゆういち)は、オリンピックバルセロナ大会バレーボール男子で6位だった。中垣内は1967年生まれで、藤島高校を卒業し筑波大体育専門学群に入学する。大学4年から日本代表のレギュラーとなった。日本のバレーボールチームは金メダルを取ったことがあるほど強豪だった。中垣内が金メダリストになれば藤島高校は三冠王だったが、残念である。