出雲駅伝では見事な走りで優勝に貢献した国学院大・平林清澄
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 今年も“熱い”大学駅伝シーズンが到来した。10月14日には「大学三大駅伝」の初戦として出雲駅伝が行われ、目まぐるしく首位の座が入れ替わる激戦となった末に国学院大がアンカー勝負を制して5年ぶり2度目の優勝を飾った。だが、2位以下との差は僅か。全日本駅伝(11月3日)、そして箱根駅伝(2025年1月2、3日)は果たしてどうなるか。出雲の結果を見つつ、2024年度の大学駅伝を展望したい。

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 まずは出雲王者となった国学院大だ。レース前に予想されていた通りの“3強対決”に持ち込んだ末に、最終的には今年2月の大阪マラソンで日本学生最高記録の2時間6分18秒で優勝したエース・平林清澄(4年)が勝負強さを見せた。だが、その平林にトップで襷を繋いだ青木瑠郁(3年)、山本歩夢(4年)、辻原輝(2年)、野中恒亨(2年)、上原琉翔(3年)の走りも見事。1区の青木が3位スタートを切った後、平林と並ぶエースの山本が区間5位と不発で、辻原も区間4位に甘んじたが、野中、上原が区間トップの走り。何より「最後に平林がいる」ことに対する安心感と信頼感が選手たちの自信とチームの一体感となり、非常に力強い襷リレーだった。

 昨季の国学院大は、出雲3位からの全日本3位、箱根5位だったが、この数年は常に上位を争っており、現メンバーのほとんどが三大駅伝経験者だ。そして今年は平林の衝撃の初マラソンに触発されるようにトラックシーズンで記録ラッシュを続け、10000m上位10人の平均タイムは現時点で大学トップを誇る。平林の入学時から4年後を見据えて作り上げてきたチームは同校史上最強と呼ぶに相応しく、選手層も厚くなったことで、前田康弘監督は全日本駅伝の制覇にも自信を見せている。出雲路を制したことで、一気に「三冠」の言葉が現実味を帯びてきた。コンディション調整で失敗せず、箱根の山を克服できれば、今季が“国学院イヤー”となる可能性もある。その機運は今までになく高まっている。

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