出雲3連覇を狙いながら2位フィニッシュとなった駒澤大はどうか。出雲のレースを振り返ると、ルーキーの桑田駿介(1年)が1区6位とまずまず。2区以降の帰山侑大(3年)、山川拓馬(3年)、伊藤蒼唯(3年)、島子公佑(2年)も安定した走りを見せて優勝争いを続けたが、エースの篠原倖太朗(4年)が平林に走り負けた。ただ、本来ならここに学生屈指のスピードを誇る佐藤圭汰(3年)がいる。出雲はメンバー外となったが全日本にはエントリー。佐藤の状態、調子は気がかりだが、5連覇がかかる全日本では出雲からの“上積み”が期待できる。
しかし、三冠を達成した一昨季、二冠の昨季から田澤廉、鈴木芽吹という強力なエースたちが卒業して戦力値がダウンしたことは間違いなく、現状では勝つにしてもかつてのような“圧倒的な勝利”は望めないだろう。今回の出雲ように接戦に持ち込んだ中で、出雲の悔しさを全日本で晴らし、その勢いを箱根に持ち込みたいところだ。
そして出雲3位となった青山学院大だ。昨季は出雲4位、全日本2位から、期待値が決して高くはなかった中で迎えた箱根を驚異的な大会新記録で制した。その箱根メンバーから、花の2区で堂々の区間2位だった黒田朝日(3年)、3区で区間賞の太田蒼生(4年)、さらに山登りの5区で区間2位の若林宏樹(4年)、山下りの6区で区間2位の野村昭夢(4年)ら出走10人中7人が残っている。さらに今季絶好調の鶴川正也(4年)が出雲では1区トップの走りを見せた。
3強の争いの中で徐々に主導権を奪われ、最終的には国学院大に1分、駒澤大に20秒の差をつけられたが、スピード勝負の出雲は同校が2018年を最後に優勝から遠ざかっている鬼門であり、この敗戦がチームの評価を下げることには繋がらない。選手層の厚さは大きなメリットで、折田壮太(1年)、飯田翔大(1年)のルーキー勢も非常に強力だ。出雲で敗れて三冠の可能性は消滅したが、距離が長くなる全日本、そして箱根では優勝候補筆頭の座は揺るがないだろう。