現時点では、松本が出演していたレギュラー番組が打ち切りを迎えるということにはなっていない。代役を立てたり番組名を変更したりすることで、復帰の可能性を残しつつ、様子を見ているような対応をしているところが多い。

 ただ、松本の裁判が長期化して、なかなか復帰の目処が立たないということになれば、徐々に打ち切りになる番組も出てくるかもしれない。すでに年内の復帰は難しい状況になっていて、明るいきざしは見えない。

松本人志への世間の目は厳しく

 そもそもテレビ局は、スポンサーからの広告費で運営されている営利企業である。松本がどれほど人気のあるタレントであっても、テレビ局から見れば出演者の一人に過ぎない。そんな彼に対してどこまでも義理立てをするという筋合いはない。どこかの段階で見切りをつけることになっても不思議ではない。

 10月7日、お笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二がロケバスの中で20代女性に性的暴行を加えたとして警視庁に不同意性交などの疑いで書類送検されたことが発表された。その後、所属事務所の吉本興業は彼のマネジメント契約を解除した。

 事件そのものの詳細は明らかになっていないものの、報じられた内容によると、妻帯者である斉藤が仕事場であるロケバスの中で女性といかがわしい行為を行っていた、というところまでは事実である可能性が高い。それだけでもタレントとしての資質を疑われてしまうのはやむを得ない。

 この事件が報じられたことで、松本に対するマスコミや世間の目はますます厳しいものになっているに違いない。

『お笑いの日』のMCがダウンタウンからかまいたちに変わったというのは、お笑い界が「ポスト松本時代」へと動き始めたことを象徴する出来事である。

 千鳥、かまいたちをはじめ、松本の陰に隠れていた下の世代の芸人がどんどん台頭してきている。新しい時代の幕はすでに開いているのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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