お笑い賞レースの審査員を独占していたときもあった松本人志だが
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 10月12日、コント日本一を決める『キングオブコント2024』がTBS系列で生放送される。これまで審査員を務めてきた松本人志が芸能活動を休止しているため、彼の代わりを務めるのは誰なのかということに注目が集まっていた。

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 新たに審査員に加わったのは、シソンヌのじろうだった。彼は松本の代役を務めるというよりは、単に審査員席の抜けた穴を埋める役割を果たした、という意味合いが強い。じろうが起用されたことによって、今年の審査員5名はいずれも過去の優勝者ということになった。

 東京03の飯塚悟志をはじめとして、審査員は現役のコント職人ばかりである。プレーヤーとして最前線で戦っている芸人たちが審査をするのだから、これはこれで出場者にとっては文句のない布陣ということになるだろう。

 2020年以降、TBSでは『キングオブコント』の開催に合わせて『お笑いの日』という大型特番が放送されている。人気の芸人が大勢集まって、さまざまな形でネタを披露していく。『キングオブコント』はこの番組の最後を飾るコンテンツである。

松本人志独占体制は崩れた

 そんな『お笑いの日』では、昨年まではダウンタウンが総合司会を務めていた。今年はダウンタウンに代わって、同じ吉本興業所属のかまいたちがMCを務めることになった。

 松本の週刊誌の記事をめぐる裁判では、延期になっていた審理が11月11日に非公開で行われることになっている。その日程から考えると、年末に予定されている漫才コンテスト『M-1グランプリ2024』で松本が審査員を務める可能性ももはや限りなくゼロに近いと言っていいだろう。

 数年前、オリエンタルラジオの中田敦彦が「松本人志があらゆるお笑い賞レースの審査員の地位を独占している」と問題提起をして物議を醸したことがあった。

 今年、松本は『キングオブコント』の審査員から外れ、『IPPONグランプリ』のチェアマンからも外れ、『M-1』の審査員から外れることもほぼ確定的となっていて、その独占体制は崩れた。お笑い界・テレビ界は少しずつ「ポスト松本時代」へと動き始めている。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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