西尾典文
今年のドラフト会議までいよいよあと1カ月を切り、スカウト会議などの話題も多くなる時期となった。今年は大学生に上位候補が多く、高校生の投手もスケールの大きい選手が目立つが、各球団はどんな選手を狙うべきなのだろうか。今シーズンの戦いぶりや現在のチーム事情から探ってみたいと思う。今回はDeNA、阪神、巨人の3球団についてだ。
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【DeNA】
終盤に広島を逆転してのAクラス入りが濃厚となったDeNA。ただ、優勝争いには絡むことはできず、チームの将来を考えても課題は少なくない。投手はエースの東克樹以外に安定した先発がおらず、リリーフ陣も他球団と比べて不安定な感は否めない。打線もセ・リーグトップの得点力を誇り強力だが、宮崎敏郎が完全にベテランという年齢となり、オースティンも怪我が多いことを考えると安泰とは言えないだろう。
投手、野手どちらを優先すべきかについては意見が分かれそうだが、松尾汐恩、度会隆輝と2年連続で野手を1位指名していることを考えても、今年はまず投手というのが王道ではないだろうか。そうなると筆頭候補はやはり金丸夢斗（関西大・投手）となる。同じ関西学生野球で活躍した東と比べても大学時点では全てにおいて上回っており、体調さえ問題なければ1年目から二桁勝利も期待できる。競合覚悟でナンバーワン投手を狙いたい。
外した場合に残っていれば指名したいのが藤田琉生（東海大相模）だ。地元出身ということもあるが、スケールの大きい投手が少ないというチーム事情にマッチしており、投手の太い柱になれる可能性を秘めているという点が推したいポイントだ。1位で投手を指名できた場合は2位では中軸候補の野手がターゲットとなる。残っていれば狙いたいのが佐々木泰（青山学院大・三塁手）だが、ウェーバー順が遅いことを考えると他球団に指名されてしまう可能性は高い。そうなった場合は他の野手を簡単に繰り上げるのではなく、もう1人力のある投手を狙い、3位で野手という方が得策ではないだろうか。
1位が金丸か藤田かで2位の投手のチョイスは分かれそうだが、1位で金丸を獲得できた場合は高校生の村上泰斗（神戸弘陵）、1位が藤田の場合は大学生の寺西成騎（日本体育大）などを狙いたい。3位で指名できそうな野手として推したいのが柳舘憲吾（国学院大・三塁手）だ。長打力は佐々木に比べて劣るものの確実性は上回っており、スタンドに運ぶ力もある。またサードの守備も捕球、送球とも安定しており、脚力も十分だ。宮崎の後釜候補となれる選手と言えるだろう。
西尾典文
西尾典文／1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも毎日記事を配信中。
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