得票数3位で決選投票に残ることができなかった小泉進次郎氏
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 史上最多の9人が立候補した自民党総裁選を制したのは、石破茂元幹事長(67)だった。政治通たちも口々に「最終決戦は読めない」と頭を抱えた、今回の総裁選。当初、自民党に変革をもたらす若きホープとして注目された小泉進次郎元環境相(43)は、選挙戦中盤から失速し、得票数136票の3位という結果に終わった。幼少期から進次郎氏を知り、父の小泉純一郎元首相についての著書も多く出版するジャーナリストの大下英治氏に、進次郎氏の“誤算”がどこにあったのかを聞いた。

【写真】進次郎氏の「致命的なミス」で票を伸ばした候補は…

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 総裁選の決選投票に進む上位2人が高市早苗経済安全保障担当相(63)と石破氏(67)に決まると、大下氏は驚いた様子を見せた。

「今の今まで、進次郎氏が新総裁になると思っていました。それを見越して、『小泉家4代』というテーマで本を書く準備をしていたのに……」

 大下氏が考える、進次郎氏の最大の敗因は「準備不足」。というのも、進次郎氏は当初、総裁選に出馬するつもりはなかったのだという。

「父の純一郎氏は『50歳までは総理になるな』と言い続けていました。純一郎氏は自分の後継者として故・安倍晋三氏を選んで、第1次安倍政権誕生に力を貸したけれど、当時52歳だった安倍さんは政権運営に失敗したうえ、たった1年で辞めてしまった。純一郎氏はその時に、政治家にとっての経験不足の怖さを痛感したわけです」

 ただ、今回の総裁選では純一郎氏の心変わりがあったようだ。約3カ月前、とあるパーティーで純一郎氏と言葉を交わしたという大下氏は、その時の様子をこう振り返る。

「お酒を飲みながら、私は純一郎氏にこう提言しました。『自民党は裏金問題のせいで国民からの信頼が完全に崩れているから、このままでは衆院選で勝てない。50歳になるまでは……の持論はいったん置いておいて、息子さんを総裁選に出して下さい』と。純一郎氏はニコニコしながら聞いていたので、まんざらでもないんだなと思いましたね」

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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