「人生には“まさか”という坂がある」
そして痛恨のミスだったのが、衆参合わせて54人の議員が所属する麻生派を率いる麻生太郎副総裁に、土壇場で支援を求めたことだろう。投開票直前の24日、進次郎氏自ら麻生氏のもとを訪れ、「力を貸してください」と支援を訴えたとされる。
「今回の総裁選は、菅グループVS麻生グループの構図でした。麻生さんとしては、『菅陣営の進次郎が俺にまで頭を下げて投票を頼むというのは、よほど困ってるんだな』と受け取ったわけです。その結果、最初は1回目の投票で河野太郎氏、決選投票で高市氏に票を入れるよう派閥内に支持を出していたのに、決選投票が石破氏VS小泉氏となる可能性を確実につぶせるならと、麻生さんは1回目から高市氏に入れるよう方針を変えた。進次郎氏は、父の純一郎氏から『人生には“まさか”という坂がある』とよく聞かされていたようですが、一つの致命的なミスで首相の座をつかみ損ねた今回ばかりは、その言葉の意味をかみしめているんじゃないですかね」
とはいえ、大下氏は進次郎氏について、「将来の首相候補として、磨けば光る逸材。ここで終わるはずがない」とも語る。そして今の進次郎氏に必要なものは、「経験」にほかならないという。
「石破氏には、同じ菅グループの仲間である進次郎氏を内閣の主要ポストに据えて、育ててあげてほしいと思います。近いうちに行われる衆院選を見据えるなら、進次郎氏を自民党の顔にするのが得策でしょう」
大下氏の取材によると、菅氏が早くも「進次郎を幹事長に」と推しているという話が出回っているという。総裁選が終わっても、党内の駆け引きは続きそうだ。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)