しかし「現状ではメジャーでの活躍は厳しいのでは」という声も聞こえる。
今シーズンは最終盤になって打棒が爆発しているが、シーズンを通して見ると三冠王を獲得した2022年シーズンのような「手の付けられない」状態とは言い難く、不安がつきまとうのも確か。今季はここまで138試合の出場で打率.245(482打数118安打)、33本塁打、86打点、OPSが.863というもの。球界全体で打撃成績が下がっているとはいえ、2年前のOPSが1.168ということを考えると、順調に成長しているとは言えない状況だ。
「(ここ数年は)打球角度をつけることを意識したことでスイング自体が変わった。スイングの軌道と投球がはまった時は本塁打になるが、そうでない時の確実性が下がる。それが成績にも表れている」(ヤクルトOB)
巨人、広島などの多くの球団が「村上シフト」を採用、安打性の打球がシフトに引っかかってしまうことも多い。そのため、打球に角度をつけて野手の上を越す打球を増やす「フライボール革命」を取り入れたようだ。
「打撃練習の最後は、必ず打球角度をつけてスタンド入りさせて終わらせる。良い感覚を持ったまま練習を終えて試合に挑みたいのだろう」(スポーツ新聞野球担当デスク)
日米で大流行した「フライボール革命」だが、米球界では次のフェーズに突入しているとされる。MLBでは2023年から極端な守備シフトがルール上で禁止されたことで、打球角度よりも打球速度が重視され始めているのだ。
「極端な守備シフトを敷き、投手は2シーム系の動く球で野手のいるところへ打ち取る。打者がそれに対応するため重視されたのがフライボール革命。しかし極端なシフトが禁止されたことで、今は打球速度重視へと変化しつつある」(在米スポーツライター)
NPBでもMLB同様に極端な守備シフト禁止が議論されたが導入はされなかった。村上シフトがいまだに日本球界で存在するのはそのためだ。
「村上がフライボール革命だけを強く意識しているのなら心配。遠くへ飛ばそうという気持ちが強いのか、強引に打とうとする姿が見える時もある。今の打撃スタイルのままでMLBに挑戦するとしたら苦労しそう」(在米スポーツライター)