教員不足の解消に向け、教員免許を持たない人材を育成する試みにも注目が集まっている。NPO法人「Teach For Japan(TFJ)」代表理事の中原健聡さんに聞いた。AERA 2024年9月30日号より。
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NPO法人「Teach For Japan(TFJ)」は教員免許の有無を問わず人材を育成し、教育現場に送り出している。今、教員募集採用数は増えて倍率は落ち、教員になりやすいのが現状。代表理事の中原健聡さんは話す。
「講師登録は必然的に減ります。講師の存在は、産休などによる欠員の代替としての人材的プールの機能もあります。ここが枯渇することで教育現場に不具合が起きています」
TFJの「フェローシップ・プログラム」研修を受講した人材は「教師(フェロー)」として学校現場に2年間赴任。自治体発行の特別免許状や臨時免許状の取得にも対応する。
「教員免許は教育の質の高さまでは担保しません。人材が枯渇している現状とはいえ、採用する学校側も本来は教員免許さえあれば誰でもというわけではなく、一定の質が担保された人材を望んでいます。選考や研修を受け、素性を把握できる人材の方がマッチングも成立しやすいです」
研修は、最長で9カ月。20代から60代まで年齢層は広く男女比も半々。教員免許を持たない人が8割を占める。
「新卒時に教員になることを選考倍率などであきらめた方や、別の分野で会社員をされていて、家族を持ったことで教育に携わりたいと応募された方など、動機も経歴もさまざまな方が集まっています」
これまで31都道府県269校に教師を送り出し、現場の需要の高まりを感じている。
「民間企業から学校に教師として出向してもらうなど、企業との連携拡大も目指しています。多様な人材による教職員集団の構築が重要だと考えています」
(編集部・秦正理)
※AERA 2024年9月30日号