村佐に刺激を受けたか、今年の夏は愛知県の選手たちに勢いがあった。村佐と同学年で、個人メドレーを専門とする西川我咲(豊川高校)は今年のジュニアパンパシフィック選手権代表として活躍し、400m個人メドレーでは金メダルを獲得。国民スポーツ大会でも優勝し、「この種目は日本のトップが世界のトップ。ライバルは多いがトップに立てるように頑張りたい」と心強いコメントを残してくれた。

 記録はまだ日本のトップにまでは届かないまでも、将来性を感じさせたのが高校1年生の小島夢貴と松山育(ともに豊川高校)である。小島は個人メドレーが専門で中学時代から同世代のなかでは頭ひとつ抜けた存在であった。インターハイでは200m、400m個人メドレーで2冠を達成し、松山は100m自由形で村佐に敗れたものの、自己ベストを更新する50秒00で2位に入った選手で、このふたりはこれからの伸びに期待したい選手である。

 男子の若手で忘れてはいけないのは、男子1500m自由形で高校生として初めて15分を切った今福和志(四條畷学園/枚方SS)である。3月のパリ五輪選考会では代表入りはできなかったが、高校1年生で優勝。2年生になった今年、ジュニアパンパシフィック選手権で14分59秒97の驚異的な日本高校新記録を叩き出した逸材だ。

 ほかにも平泳ぎの高校1年生で、ジュニアパンパシフィック選手権で2冠を成し遂げた大橋信(四條畷学園/枚方SS)や、大橋が持っていた100m平泳ぎの日本中学記録を破った野中龍生(金泉/ようどう館大和)も魅力。個人メドレーとバタフライで記録を伸ばしている阿部力樹(日大藤沢/セントラル横浜)や、背泳ぎと自由形の短距離でメキメキと力をつけてきている中学3年生の平田統也(丸亀南中/坂出伊藤SS)らも楽しみな存在である。

 一方の女子は、村佐同様にパリ五輪代表となった高校3年生の成田実生(淑徳巣鴨/ルネサンスKSC金町)と、テネシー大学への進学が決まっている平井瑞希(日大藤沢/ATSC.YW)は注目選手から外せない。成田、平井ともにパリ五輪後は少し失速気味であったが、ふたりがパリ五輪で見せた涙は、心の底から悔しがっていたものであった。本気で戦いに行き、本気でメダルを狙っていたからこその素直な涙であった。ぜひ、このまま真っすぐ、世界と戦う姿勢を崩さずに己の道を突き進んでいってもらいたいところだ。

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