「飲みニケーション」という言葉に象徴される、お酒を介したコミュニケーション文化は、今でも根強く残る部分がありますが、現代ではその価値が見直されつつあります。Xフォロワー約30万人の元自衛官ぱやぱやくんは、お酒を飲まなければ言えない本音に意味はないと断言。シラフでも楽しく話せる相手こそ、本当に信頼できる人間関係だと語ります。その真意を、著者の最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』から抜粋・再編集してお届けします。
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日本には「飲みニケーション」という言葉があります。
これは「飲み」と「コミュニケーション」を組み合わせた言葉です。
簡単に言うと、昔からある、会社の同僚とお酒を飲みながらコミュニケーションをとる手法のことを指しています。
最近では「なかなか後輩をお酒の場に誘いにくい」と言われるように、この飲みニケーション自体が廃れつつある文化ということも言えるでしょう。
しかし、その一方で「普段言えないことも、お酒を飲めば語り合える」と固く信じている人も中にはいます。
実は、この飲みニケーションは、陸上自衛隊の十八番でもありました。
現在は違うと思いますが、私が在籍していた頃の自衛隊は「とりあえず酒を飲め」とか「酒を飲まないと始まらない」という文化が醸成されていました。
それどころか「酔えば酔うほどいい」といった風潮すらもありました。
ただ、今になって、私が思うのは「お酒を飲まないと言えない本音」というものは「言わなくてもいいこと」なのです。そもそも、日常の中で言えていないのは「言わないほうがいい」と判断しているからです。
だから、お酒を飲んで普段言えないことを言ったところで、次の日に襲ってくるのは「後悔」の気持ちのほうが大きいのではないでしょうか。
結局、「言えないことを言えてスッキリした」という気持ちよりも、「あんなことは言わなくても良かった」とか「失礼なことをしてしまった」という後悔で頭がいっぱいになった人も多いでしょう。
飲みニケーションが廃れてき始めている現代では、「お酒の席では無礼講」という考え方も、少しずつ古臭く考えられてきています。
だから、言われた側だって、失礼なことをされたら心の奥底では「酒の席とはいえ、あいつは面倒くさいな……」と、嫌な気持ちが残っているかもしれませんよね。