職員室で採点する非常勤教員で書写専科の神山裕美さん(撮影/編集部・井上有紀子)

 学校としても、1人のフルタイム教員の代わりに、週に2、3日の非常勤教員が2人入れば回る現場もある。この小学校でも、夏までに市の教員登録バンクを通じて、フルタイム教員2人と非常勤教員3人を採用することができた。まだ1、2人不足だが、状況はかなり改善した。

「新しく先生方が来てくれて、職員室は『さあ、これからみんなでやっていこう』という春に感じた雰囲気になりました」(奥田校長)

 市の紹介で4月から週に3日、書写専科として働く神山裕美さん(44)は大学で教員免許を取得したが、社会経験を積むために呉服卸商社に就職結婚後は夫の会社を手伝いながら書道教室を運営して子育てをしていた。

「子育てしながらも、夫の仕事の手伝いや、自宅で書道教室を運営して充実していたのですが、教員になりたいという想いは持ち続けていたのです」

 市教委の窓口に昨年、相談に行ったのをきっかけにこの小学校と別の学校の2校で勤務するようになった。

「働き方改革を進める学校現場での教員不足に役立ちたいとの想いもありましたし、沢山の先輩先生方や、これまでと違う環境で人と出会えることが、自分の成長につながったらいいなと思っています」

 大畠季加さん(41)は、7月に市の教員登録バンクに登録したばかりだが、2学期からこの小学校で図工専科として週3日、働き始めた。

 9月の第1週、大畠さんは2年生の教室で、図工の授業を行った。このクラスでは初めての授業だが、大畠さんの周りには、子どもたちが「先生見て~」と群がっていた。ある女子児童は「先生、大好き。頑張ろう、お~!と言ってくれた」と大畠さんを早くも好きになったようだ。

 大畠さんは10年以上、非常勤教員として働きながら、イラストレーターなどの別の仕事もして自己実現してきた。大阪府内の学校で勤務してきたが、1年半のブランクを経て、住んでいる生駒市内の学校でも働いてみたいと思い立った。

「学校の外でも仕事をしていろんな人と社会で関わってきたので、教員になり立ての頃と比べて子どもたちへの声かけの引き出しが増えました。図工が苦手な子にも声をかける言葉のバリエーションが広がりました。多様な視点から子どもをフォローしていけたらなと思います」(大畠さん)

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