無人島に取り残された
小西:渡米時、子どもは5歳と3歳でした。周りがママばかりの中、授業参観にパパが来ていたことなどをどう思っていたか気になっていたので、これを機に今晩にでも小学生の娘に聞いてみたいと思います。当時の私はスーツを着なくなり、稼げなくなった状況に直面して呆然としてしまいました。これが男性の生きづらさだと思います。まさにアイデンティティーロスでした。
池田:そのロスは帰国する頃にはどうなっていたんですか?
小西:最初は心の振れ幅が半端なく激しく、妻が出勤した後は子どもと無人島に取り残された感覚でした。でも子どもにご飯を食べさせないと生命に関わるので、目の前のタスクをこなしていった感じです。そんな日常を送る中で振れ幅も徐々に軽減されていきました。振り返ってみると、仕事に加え、家事育児の二馬力に夫婦で到達できたことは大きな変化でした。食事のレパートリーも増えました(笑)。
池田:それはいいですね! 男性の育休取得率が上がっていますが、妻が仕事に出ている間に、一日家にいて家事・育児を一人でしている男性はまだ少ないです。
(構成/フリーランス記者・小野ヒデコ)
※AERA 2024年9月23日号より抜粋