小西一禎さん(左)と池田心豪さんはこの日が初対面。話題は互いの育った環境にも及び、大いに盛り上がった(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 産休育休中の女性は、社会との関わりがなくなることにさみしさを感じることもある。では、“稼ぎ手”から“子育てメイン”になった男性の場合はどうだったのか。AERA 2024年9月23日号より。

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 職場や家庭に根強く残る「男性は仕事、女性は家庭」といった性別役割分業意識。正面から向き合っているジャーナリスト/元米国駐在夫の小西一禎さん(52)と、労働政策研究・研修機構 多様な働き方部門副統括研究員の池田心豪さん(50)という、同世代の2人が語り合った。

小西一禎(以下、小西):45歳で妻の海外赴任に伴い、休職をして“駐夫(ちゅうおっと)”として3年3カ月米国に滞在しました。それまでは、共同通信の政治部記者として連日深夜まで働いていましたが、海外に行き、しかも駐在員の妻に同行する駐夫というレア・オブ・レア的な立場を経験したことで、初めてマイノリティーの視点で物事を考えられるようになりました。もしこの経験がなかったら、今ではジェンダーバイアス全開の権化のようになっていたかもしれません。ゾッとしますね。

池田心豪(以下、池田):日本社会では女性が家計を支えるために働くということについてあまり議論されてきませんでした。でも、直近の令和5年版男女共同参画白書では女性の経済的自立について言及されるようになり、潮目が変わってきていると感じます。小西さんは在米中に退職されましたよね。その時、家族はどういう反応でしたか?

小西:妻からは「あなたの人生だからいいんじゃない」と言われましたね。止められたことも、勧められた記憶もありません。

池田:何かの決断をする時、パートナーの承認は必要ですね。女性も男性も古い性別役割を脱ぎ去ることが許されるようになるという面では、「あなたの人生だから」という一言には思いやりと、お互いの独立心を感じます。

 私の両親は共働きで、保育園の送りや高校時代の弁当作りは父が担当していました。その姿をお手本にしている面はあると感じます。小西さんは駐夫時代の経験を生かして、フリーランスとして活躍されている。その姿も併せてお子さんは父親のことをよく見ていると思います。

ジャーナリスト/元米国駐在夫:小西一禎さん(52)(こにし・かずよし)/1972年、埼玉県出身。慶応義塾大学卒業。修士(政策学)。2017年、妻の米国赴任に伴い、会社の休職制度を男性で初めて活用。著書に『妻に稼がれる夫のジレンマ』など。2児の父(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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妻が出勤した後は子どもと無人島に取り残された感覚だった