岸田政権でともに閣僚を務めた高市氏と上川氏

「バッシングの集中砲火でダメージ」

 それだけではなかった。高市氏は総裁選告示の数日前、自らのXにこう投稿した。

〈この度の自民党総裁選においては、お金のかからない総裁選を目指すということで、党の選管の規定でネットへの有料広告が禁止されました。新しいルールは数日前に決まったばかりですので、ご存知ない方も多いかと思います。今日、ネットに私を応援する旨の広告がアップされているとの報告を受けました。応援して下さっているお気持ちは十分に理解しておりますが、ルールを守り、正々堂々とこの総裁選を戦い抜いてまいりたいと存じます〉

 高市氏陣営のB議員が説明する。

「高市氏の熱狂的な支援者が、独自で動画サイトの有料広告を出していたことがわかり、注意喚起をしました。リーフレットも(禁止事項が公表される前の)8月中には発送を決めていたもので、総裁選を狙ったものではない。だがSNSや永田町でのバッシングはきついものがある。これだけ集中砲火されると、総裁選の票にかなりダメージだ」

「こんなチャンスはもうない」と決断

 一方、もう一人の女性候補の上川氏は、告示日前日の11日、立候補者9人の中で最後に立候補を正式表明した。同じ旧岸田派の林芳正官房長官が出馬をする中、あえて出馬に踏み切ったため、推薦人集めに苦労し、ぎりぎりの出馬会見となった。

 上川氏はこれまで法相を3度と外相などを経験。法相時代に地下鉄サリン事件や松本サリン事件などで死刑判決を受けたオウム真理教元幹部13人への死刑執行を決断したことでも知られる。

 上川氏を後押ししたのは、岸田首相と麻生太郎副総裁だったという。麻生氏は自分の派閥から河野氏が出ているが、A議員によると、こんな経緯があった。

「岸田首相は、自らの出馬断念を明かした後で、『誰にでもチャンスがある。派閥はもう関係がないので立ち上がってほしい』と岸田派の議員らに繰り返していた。世論調査では総裁に上川氏をという数字も悪くない。それもあって上川氏はこんなチャンスはもうないと、林氏に推薦人が流れることを覚悟しながらも出馬した。推薦人集めでは、女性議員を中心に12、13人までは比較的早く集まったが、その後が難航。最後に助け舟を出してくれたのが『上川氏の手腕は海外でも評価が高い』と以前から絶賛していた麻生氏で、派閥から推薦人を出してくれました」

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