9月12日、自民党の総裁選の火ぶたが切られた。史上最多、9人の候補者が立候補した中で、女性候補は2人。高市早苗安全保障担当相と上川陽子外相が出馬した。前回、2021年の岸田文雄首相が勝利した総裁選と同じく女性候補は2人だが、前回とは少々事情が異なるようだ。上川氏が立候補した背景には、「高市氏に女性票を集めたくない」キングメーカーたちの動きがあったというのだ。
【写真】総裁選の裏でキングメーカーの座を狙って動くのはこの人たち
高市氏は前回の総裁選で安倍晋三元首相の後押しを得て、岸田首相、河野太郎デジタル相に続く3位に食い込んだ。安倍元首相は亡くなったが、今回も20人の推薦人を集めて、立候補にこぎつけた。
「今回は2回目の出馬。勝ちにいく」
と語った高市氏。しかし、スタート直前に大きくつまずいた。
禁止事項破って注意受けた高市氏
自民党総裁選の選挙管理委員会委員長の逢沢一郎衆院議員は9月11日、高市氏が全国の自民党員らに9月初めに到着するように、政策リーフレットを郵送したことが不適切だと「注意」した。
逢沢氏は、
「総裁選直前ということもあり、自民党本部に苦情が多く寄せられていた」
と説明した。
これまでの総裁選といえば、
「どの候補も永田町に近いホテルを借り切り、選対本部を設置。そこに応援団の議員や後援者が集まり『裏工作』で他陣営を切り崩す算段をするのが当たり前のようになっていた。昭和の時代は何千万円、億のカネをかけて戦うのが自民党総裁選の日常でした」
と話すのは、選挙プランナ―の藤川晋之助氏。今年7月の東京都知事選で2位となった広島県安芸高田市の前市長・石丸伸二氏の選対を取り仕切った人物だ。
だが、自民党は裏金事件で派閥解散という前代未聞の危機にみまわれた。今回は「お金をかけない総裁選」を標榜し、禁止事項として「書籍や色紙等物品の配布」「オートコール(自動音声)による電話作戦」「インターネットの有料広告」「文書類の郵送等での送付」などが新たに設けられた。
高市氏のリーフレット配布は、禁止事項の「文書類の郵送」に引っかかった。