問題のシーンは、5回1死、巨人の先発・畠世周が会沢翼に頭部死球を与えた直後だった。会沢は両手で頭を抑え込みながら、その場に倒れ込んだ。

 ところが、一歩間違えば命にもかかわりかねない状況にもかかわらず、日本テレビ・上重聡アナウンサーは「あーっと、頭へのデッドボール。ジャイアンツここでアクシデントです」と露骨に巨人寄りの実況を行った。

 この日の畠は474日ぶりの先発。1点リードのこの回を無失点で投げ切れば、勝利投手の権利が得られるところだったのだが、あと2人でまさかの危険球退場に。

 確かに不運と言えなくもないが、この場合、当てた畠よりも、会沢を心配するのが筋というもの。読売系列で巨人寄りの実況がお約束とはいえ、このタイミングで、この発言は不適切だった。

 ネット上でも「いやアクシデントは頭部死球会沢に当てられた広島だろ」「上重も危険発言で退場処分にしよう」など、非難の声が相次いだ。

 この一件とは逆に、巨人ファンが相手チーム寄りの実況にカチンと来たのが、昨年9月25日のDeNA戦だ。

 1点を追う巨人は8回2死一、二塁のチャンスに、途中出場の重信慎之介に打順が回ってきた。

 一打出れば同点。巨人ファンは祈るような思いで重信のバットに期待をかけたが、直後、重信について「長打はありません」とするDeNA寄りの実況に不快感をあらわにする。

 プロ8年目の重信は、前年まで通算7本塁打。同年もこの日まで打率.174、0本塁打と当たっていなかったが、だからと言って、この場面で長打がないとは限らない。

 結果的に重信は空振り三振に倒れたが、ネット上では「【悲報】プロ野球実況さん『重信に長打はありません』炎上www」のスレッドが立ち、「今日の実況まじ腹立つな」「偏りは仕方ないにしてもよ。見返してほしかった」など、不満の声が溢れた。

 自軍寄りの実況であっても、試合の重要局面で相手チームの選手のイメージを下げるような表現は、失礼と受け止められても仕方がない。

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「ちょっと心配ですが、ブルペンには杉内がいます」