近年はプロ野球の実況が炎上することも…※画像はイメージ
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 野球中継では、実況アナの発言がネット上で話題になることも多い。近年は「贔屓のチームに偏った実況でも構わない」というファンが増える一方で、公正中立な立場を求めるファンも多数に上ることから、時には炎上騒動に発展することもある。

【写真】露骨な“巨人寄り”実況で非難されたのはこの人

 まずは昨年11月1日の日本シリーズ第4戦、阪神オリックスで、炎上を招いた発言から紹介しよう。

 3対3の9回裏、阪神は1死から近本光司が四球を選び、次打者・中野拓夢のときに2つの暴投で三塁まで進む。

 犠飛でもサヨナラという場面で、オリックス・中嶋聡監督は、中野と森下翔太を申告敬遠して満塁策をとったが、4番・大山悠輔がフルカウントから三遊間を破るサヨナラ打。劇的勝利で阪神は2勝2敗のタイに戻した。

 ところが、直後、阪神ファンで知られる読売テレビ・平松翔馬アナウンサーが「中嶋監督、満塁策失敗!」と叫んだことが、オリックスファンの顰蹙を買ってしまう。

 1点も許されない1死三塁のピンチで、空いている塁を埋めるのは十分考えられる作戦だし、阪神がサヨナラ勝ちした事実だけを伝えればいいのに、あえて「失敗」を強調するのは、好ゲームを演じたオリックスや中嶋監督へのリスペクトに欠けるという理由からだった。

 X(旧ツイッター)では「満塁策失敗」がトレンド入りし、「そんな言い方あるか?」「失礼極まりない」などの批判が相次いだ。

 その一方で、「別にええやん。最近ちょっとしたことで文句言い過ぎ」「今日の実況の人熱くて個人的には好きやし叩かれて不快やなぁ」などの擁護意見もあり、“公正中立派”と“偏り歓迎派”の温度差が改めて浮き彫りになった。

 その後、平松アナウンサーは11月6日に自身のインスタグラムを更新し、「皆様からいただいた貴重なご意見は、今後の活動に役立てていきます」と綴っている。

 自軍寄りの実況でも、相手チームへの配慮を優先すべきケースもあることを痛感させられたのが、20年7月31日の巨人対広島だ。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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露骨な巨人寄りの実況に批判も…