戸郷の制球力はメジャーで通用する
昨年のWBCで評価を上げたのが巨人の戸郷翔征だった。決勝の米国戦では三回から登板すると、2イニング無安打無失点の快投。メジャー屈指の強打者で知られるマイク・トラウト(エンゼルス)、この大会で絶好調だったトレイ・ターナー(フィリーズ)から三振を奪って強烈なインパクトを与えた。
東海岸のメジャー球団関係者は高評価を口にする。
「187センチの長身で手足が長く、独特の投げ方で中南米の投手に近いが、彼の凄さは制球力。特にフォークの質が際立って高い。カウントを取るフォーク、決め球にするフォークと投げ分けることができるし、直球が力強い。ケガで離脱せずに先発で投げ続けている点もポイントが高い。メジャーでも十分に通用するでしょう。彼と大勢はお気に入りだね」
同じ巨人の大勢も、WBCでインパクトを与えた。準決勝のメキシコ戦では九回に登板して無安打で抑え、その裏の逆転サヨナラで勝ち投手になった。決勝の米国戦でも七回の1イニングを無失点に抑え、世界一に貢献している。
大勢も戸郷と同様に変則的な投球フォームを武器にする。スリークォーターとサイドの中間から腕をしならせ、最速158キロの直球、140キロ台のフォーク、スライダーで三振奪取能力が高い。故障の多さがネックだが、リリーバーとしての能力の高さは球界屈指だろう。
投手より評価が低い日本人野手
巨人といえば、不動の4番、岡本和真もWBCで活躍した。全7試合に出場し、準々決勝のイタリア戦では3点本塁打を含む5打点をあげ、決勝の米国戦でもソロ本塁打を放っている。昨年はキャリアハイの41本塁打で3度目の本塁打王を記録し、6年連続30本塁打以上もマークした。岡本はメジャー志向があると報じられている。ただ、今年はここまで22本塁打と、30本塁打到達が微妙な状況だ。
日本人野手は投手と比べてメジャーの評価が高いとは言えない。鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)がチームの中軸として活躍しているが、日本で残した実績と比較すると打率、本塁打数は落ちる。スポーツ紙デスクは「大谷は別格と考えるべきです。メジャーでプレーする野手はNPBより打率が2分、本塁打は10本近く減ると計算した方がいい」と指摘する。