そんなとき、私は言います。

「今日は、お帰りください」と。
 

違和感を大切に

 緊急を要する場合を除けば、気持ちが定まっていないときに手術を受けることはよくありません。自分の体の行方は、自分の意志で決めるものです。互いの心が通じ合っていないと、最善の手術はできません。

 それでも、見放すつもりはもちろんありません。迷っているなら延期しましょう、ということです。人間誰しも迷いはあります。そして、迷ったまま行動を起こしても、自らが願う結果にはたどり着けません。

 自分が感じた違和感を、大切にしてください。

 そして、相手から感じた違和感にも敏感になりましょう。

 心の揺れは、ほうっておくといずれ大きな問題となって、あなたにかならず降りかかります。「あのときこうしていればよかった」と思うのは、うすうす違和感に気づいていながら放置した結果なのです。

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渡邊剛

渡邊剛

わたなべ・ごう/心臓血管外科医。ニューハート・ワタナベ国際病院総長。2019年から2023年まで5年連続ロボット心臓手術件数世界一を記録するなど、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた心臓手術の世界的権威。2010年より14年連続で「The Best Doctors in Japan」に選出中。

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