そんな奇跡のような状態を引き出そうとするよりも、実力をしっかり発揮できる力を身につけるほうが、価値があると思います。
では、仕事においてパフォーマンスにムラがある人と、パフォーマンスの波が少ない人で比べた場合、どちらに仕事を任せたいと思うでしょうか。
多くの方が、後者に仕事を任せると思います。なぜなら、仕事を任せるときは「期待どおりの働き」を相手に求めているからです。はじめから「期待以上の働き」を求めている人はいないでしょう。
大事なのは「いつもと違う力を発揮する」ことよりも、「いつもと同じ力をどんなときでも発揮できるようになる」ことです。
「メンタルフラット」を強く意識してください。
違和感を「気のせい」にしない
朝起きて、なんか今日はいつもとちょっと違う感じがするとか、今週は嫌なことが立て続けに起こるなどと思うことはありませんか?
「気のせい」かもしれませんが、そういった「自分を取り巻く〝気〟の違い」を感じた場合、その違和感はスルーしないほうが賢明です。
私は手術当日、患者さんのもとを訪ね、最後に手をギュッと握ることを習慣にしています。手術前に患者さんの手を握るのは、単なる挨拶ではありません。お互いの気持ちの確認です。
これは滅多にあることではないのですが、手を握った直後に私のほうから「今日、手術をするのはやめましょう」と言うこともあります。それは、患者さんのエネルギーを感じ取れないときです。
今日、病気と闘って絶対に元気になる!
そう強く意志を固めている患者さんからは、エネルギーが伝わってきます。でもときに、そうでないこともあります。手が冷たいだけでなく、「エネルギーの交流ができていない」と感じるのです。
たとえば、こんなことがありました。
患者さん自身が、じつは手術を受けることに積極的ではないのです。それでも親族から「手術を受けたほうがいい」と言われ入院したものの、本当は手術を受けたくないという気持ちが強い。事前にお会いして話したときは「手術を受けます」と口にしながらも、本当は迷い続けている。