毒=悪、ではない。毒=誤、でもない。ただ、毒=強い刺激物として考える。毒には強烈な刺激があり、重篤な影響があるが、薬にもなることもある。人体への影響が大きいので量と質を間違えてはいけない。中毒症状や、禁断症状などもあり、依存のケアも必要だ。刺激物は魅力的であり、それが正しくないものだからこそ楽しく、やめられない。だからこそ取り扱いにも生産にも注意と倫理が必要だ。AVとはそのようなものではないか。
日本でAVが誕生し、まだ50年も経っていない。昔はAV以外のエンタメが発展すればAVなど廃れる……と思われてきたが結局そうはならず、欲望は欲望を生み、刺激はさらに強い刺激を追いかけるように加速し、AV産業は発展してきた。それなのにAVがどのようなもので、そのような刺激が私たちの人生を、私たちの社会をどう変化させるのかなど、ほぼ研究されていない。近年、AVの中毒性や、AVの依存性や、AVが脳に与える影響や、AVが生活習慣に与える影響などが研究対象になることも海外では増えてきているが、AV大国の日本だからこそ考えられることは山ほどあるはずだ。
「子どもたちの想い出の場でエロはやらないでほしい」
そういう感情を大切にすることで守られる社会がある。だからこそ、AVが何であるのか、その影響力について行政は慎重に考えるべきだと私は思う。杉並区は区民の声を採択すべきだった。