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守備は「チャレンジ」。
米沢監督がそう語るように、堅実な中にも果敢に攻める動きがあった関東第一の守備が、東海大相模のそれをわずかに上回ったと言えるだろうか。何度となく好守を見せた遊撃手の市川は言う。
「チームとして『0歩目』の守備というのがあるんです。打球を予測して、配球やバッターの特徴を考えてポジショニングを変える。『0歩目』をしっかりとやることで、守備範囲も広くなるんです。東海大相模は、引っ張りが多い打者が多くて、右打者の時は三遊間に寄ったポジショニング。今日はイメージ通りの守備ができた」
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守備は「命」。
そこまで言い切る市川は、「磨いてきた守備のおかげで試合に出られている」とも言う。そして、彼はこうも言うのだ。
「今日は、二遊間の守備で勝った」
同じ遊撃手である東海大相模の才田和空は、「相手は守備がいいチームというのはわかっていた」。ゆえに、どれだけ好守を見せられても「動揺することはなかった」と言う。7度の守備機会を完璧なまでにさばいて見せた才田は、負けてもなお、培ってきた力に自信を持つ。
「守備で引っ張っていく選手になりたいと思っていた。その姿は、甲子園で見せられたかな……」
東海大相模は無失策試合を最後に、この夏を終えた。
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(佐々木 亨)
※AERAオンライン限定記事
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