ミラクルぶりが話題となっているのが、大社だ。1回戦でプロ注目の今朝丸裕喜を擁したセンバツ準優勝校の報徳学園(兵庫)を3対1で下すと、2回戦で創成館(長崎)を相手に2点差を追い付いての延長タイブレークで5対4の勝利。3回戦では早稲田実(西東京)を相手に9回裏にスクイズで同点に追い付き、延長11回サヨナラ勝ち。石飛文太監督は試合後の“男泣き”インタビューも話題となった。エースの馬庭優太が3試合で計30イニングを1人で投げ抜いている点は、賞賛に値すれどもベスト8以降の戦いへ向けては懸念材料になる。だが、チームの勢いは本物。休養日をうまく利用しながら今後の戦いに臨みたいところだ。

 その大社とベスト8で激突する神村学園は、1回戦の木更津総合(千葉)で8対5の逆転勝ちを収めると、2回戦でも中京大中京(愛知)を相手に2点を先行される展開から4対3の勝利。3回戦の岡山学芸館(岡山)では7対1と投打で力を見せた。投手陣では今村拓未が2試合に完投し、2年生の早瀬朔は3回戦で9回5安打1失点の好投。そして打線が、上位から下位まで穴がなく、各打者の鋭いスイングが目立つ。打線全体の得点力は、東海大相模、青森山田を凌ぐものがあり、大社のミラクルを封じ込めることができれば、そのまま決勝まで勝ち上がれる力を持っている。

 さらに話題を振りまいているのが、滋賀学園だ。開幕戦となった1回戦で有田工(佐賀)との乱打線を10対6で制すと、2回戦では優勝候補にも挙げられていた花巻東(岩手)に5対0の完勝。続く3回戦では霞ケ浦(茨城)を6対2で下し、夏の甲子園初勝利から一気にベスト8に駆け上がった。打線では今大会打率.429(14打数6安打)、4打点の4番・岡田幸大が中心で、投手陣ではエースの脇本耀士に加えて、高橋侠聖、土田悠貴の2番手以降の投手も好調だ。そして何より、アルプススタンドの応援団の全力かつ独特なダンスが大きな話題となっている。「2024年夏=滋賀学園の応援」のムーブメントを試合の流れに乗せることができれば、「2024年夏=滋賀学園の優勝」となるかも知れない。

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“予想がつかない”今後の戦い