パリ五輪の最中に開幕した第106回全国高等学校野球選手権大会は、8月17日の第11日目を終えてベスト8が出揃った。勝ち上がったのは、準々決勝の試合順に関東第一(東東京)、東海大相模(神奈川)、青森山田(青森)、滋賀学園(滋賀)、京都国際(京都)、智弁学園(奈良)、大社(島根)、神村学園(鹿児島)。地区別の内訳は、東北が1校、関東が2校、近畿3校、中国1校、九州1校となった。果たして深紅の優勝旗に最も近い高校はどこか。
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この8校の中で唯一の夏の甲子園優勝経験があるのが、東海大相模だ。最激戦区の神奈川を勝ち上がった実力はやはり本物で、初戦となる2回戦の富山商(富山)に4対0、3回戦では優勝候補の一角である広陵(広島)を8対1で下した。身長198cmの大型左腕・藤田琉生の“覚醒”が大きく、2試合で計13イニングを投げ、わずか5安打で失点1(自責0)と圧巻のピッチングを展開した。打線も2試合で計24安打を放っており、特に地方大会で打率.481をマークした2年生の3番・中村龍之介が甲子園2試合で打率.667(9打数6安打)、4打点と好調だ。投打の噛み合った戦いぶり、広陵を一蹴した“強さ”は目を見張るものがある。昨夏の慶応に続いて神奈川県勢の連覇への期待は高まっている。
青森山田も前評判が高かったところから順当に勝ち上がったチームだ。大会初戦の2回戦で長野日大(長野)を9対1で圧勝し、3回戦で石橋(栃木)に5対0の完勝。初戦では最速152キロ右腕・関浩一郎が1失点完投、続く石橋戦では関以外の3投手(下山大昂、菊池統磨、桜田朔)が完封リレーと、投手陣がまだまだ余力を残している。さらに打線も強力で、2試合で計23安打をマーク。1番の佐藤洸史郎、2番の佐藤隆樹の2年生“W佐藤”が好調で、4番に座る注目のスラッガー・原田純希も石橋戦でバックスクリーン右へ豪快なアーチを放った。夏12回目の出場で初のベスト4進出から一気に初優勝へ駆け上がることは十分に可能だ。