認知症が進行すると考えられる「アミロイドβ」

 アメリカの国立アルコール乱用・依存症研究所などの研究グループは、22~72歳の健康な男女20人を対象に、徹夜後の脳内の「アミロイドβ」量を測定。一晩の徹夜でも脳内のアミロイドβ量が5%増加することがわかったという。アルツハイマー型認知症では、脳内で神経細胞が死滅して脳の萎縮が進行すると「老人斑」と呼ばれるアミロイドβが固まったものが現れる。これが蓄積することで認知症が進行すると考えられている。

 アミロイドβは、タンパク質の一種で脳内の老廃物。睡眠によって多く洗い流されるので、徹夜や睡眠不足の状態が続くと、アミロイドβが十分に排出されずに脳内で増加し、認知症リスクが高まる可能性がある。

認知症の原因ともいわれる「アミロイドβ」は徹夜によって増加する

 実際、アメリカのタウブ研究所で実施された65歳の非認知症者1041人を対象としたコホート研究(ある共通の特性を持つ集団とそうでない集団のグループをつくり、一定期間追跡して、どのような変化が起きるかなどを観察し、その特性との関連を明らかにしようとする研究)で、睡眠不充足により、認知症のリスクは4倍に上昇することが明らかになっている。

 結局、最も効率のよい勉強法は、日中に毎日コツコツ積み重ねてよく眠ることだし、年齢にかかわらずしっかり眠ることが、認知症のリスクを下げることにもつながるということだ。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂)