「学生時代は試験の前によく徹夜したなぁ」というあなた。徹夜しなければ、結果はもっとよかったかもしれない
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 学生時代、試験前に一夜漬けをしていた人は多いだろう。それで結果が出た、という人もいるかもしれないが、睡眠の観点から見ると、この勉強法は「まったくおすすめできない」という。それはなぜか。
 シリーズ累計145万部の「超基本」シリーズ最新刊で、睡眠研究の第一人者・柳沢正史氏が監修した『今さら聞けない 睡眠の超基本』が、徹夜が脳に与える影響を詳しく解説している。本から引用する形で紹介したい。

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徹夜後の脳=酒に酔った状態?

 徹夜したときの脳の働きは、「アルコールが血中に0.1%含まれる状態と同等」の状態。つまり、徹夜明けで試験を受けたり仕事をしたりするのは、酔っ払った状態で答案に向き合ったり契約書をつくったりしているのと同じことだ。成果を上げようしても、よい結果が得られる可能性は低いだろう。

 睡眠不足は論理的な思考を司る脳の前頭葉にさまざまな影響を与える。注意力や集中力の低下、論理的思考能力の減少、感情の制御が難しくなる、不安やイライラ感が増加する、といったことから、食欲の増加、高カロリーなものが食べたくなるといったことまでその影響は多岐にわたる。

 記憶の整理や定着は睡眠中に行われるため、一夜漬けをしても勉強した内容を記憶することはできないし、脳の機能の低下で、これまでに学習した情報も引き出せなくなる。徹夜で頑張っても、結果にはにつながりにくいのだ。

 さらに心配なのは、最近の研究で、一晩の徹夜でも認知症の原因物質がたまってしまうことがわかってきたことだ。

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認知症と徹夜にまつわる実験