日本将棋連盟会長の羽生善治九段(右)と阪神甲子園球場長の向井格郎さん=2024年1月13日、阪神甲子園球場
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2024年8月12日-19日合併号より。

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 1924年9月8日。東京の有力な棋士団体3派が合同して「東京将棋連盟」が結成された。後身にあたる現在の公益社団法人・日本将棋連盟は、この日を創立記念日としている。そして今年2024年、連盟は創立100周年を迎えた。

 将棋界の人々が歩んだ100年の道のりは、平坦なものではなかった。特に戦時下では、将棋どころではなく、先人たちは辛酸をなめ尽くした。

「如何なる理由があらうとも、人類は再び武器を取る戦ひをなすべきではない」

「各民族がその誇る文化の華を世界に競ふ時、人類の限りなき発展がある」

 戦後再刊された連盟機関誌「将棋世界」(1946年6月号)には、そうした格調高い「再刊の辞」が記されている。

 平和な時代を迎えると、将棋界も復興、発展を遂げていく。1948年、阪神甲子園球場では、広いフィールドを将棋盤、人間を駒として、大山康晴八段(のちに十五世名人)と松田辰雄八段(没後贈九段)の対局がおこなわれた。その様子を一目見ようと、球場には3万5千人もの観衆が集まったという。

 連盟の運営は基本的にずっと、棋士自身の手でおこなわれてきた。現在の会長は羽生善治九段が務めている。近年の一大プロジェクトである東京、大阪の将棋会館建て替えにあたっては、クラウドファンディングによって、ファンから多くの寄付が寄せられた。

「ここまでの道のりは先人達の情熱的な献身とフアンの皆様の変わらぬ御支持のお陰です。心からの敬意と感謝を申し上げます」(100周年記念サイト、羽生九段の言葉)

 8月1日。甲子園球場も将棋連盟と同様に創立100周年を迎えた。そのコラボ企画として12月8日には現代のゴールデンカード、羽生九段と藤井聡太七冠の対局がおこなわれる予定だ。(ライター・松本博文)

AERA 2024年8月12日-19日合併号

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松本博文

松本博文

フリーの将棋ライター。東京大学将棋部OB。主な著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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