決勝で敗退後、顔を覆う村尾三四郎

 プロ野球は18年にリプレー検証が導入され、審判の判定に異議がある場合に監督が2回リクエストできる仕組みになっている。サッカーも16年からビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が一部の試合で導入され、J1リーグでも21年から取りいれられている。主審が下した判定を、試合審判員がビデオ映像と通信用ヘッドセットを用いて確認することで、誤審を防いでいる。

 スポーツ紙デスクは、「柔道は激しい技の攻防が審判の死角に入って、何が起きたか見えないケースが多々ある。公平性を期するため、他のスポーツのように監督が回数限定でビデオ判定をリクエストできる方が良い」と提言する。

「反則負け」でも相次ぐ「不可解判定」

 「不可解判定」で、反響を呼んだもう一つのケースが、「指導」3つの累積による反則負けだ。男子73キロ級銅メダルの橋本壮市は準々決勝でジョアンバンジャマン・ガバ(フランス)と対戦。橋本が先に指導2つ、ギャバに1つ宣告され、2分28秒で橋本に3つ目の指導が与えられて反則負けを喫した。橋本は右手、ギャバは左手で互いの袖をつかんでいたが、橋本が左手を使って組み手を切ったことが消極的姿勢と判断されたとみられる。地元・フランスの観客が歓喜でわく中、橋本は茫然とした表情を浮かべた。

 指導3つによる反則負けで、怒りを露わにしたのは日本人選手だけではない。女子48キロ級で金メダルを獲得した角田夏実が、タラ・バブルファト(スウェーデン)と対戦した準決勝が波紋を呼んだ。バブルファトは角田の得意技・巴投げを徹底的に対策。互いに「指導2つ」で迎えた2分50秒で試合が動いた。バブルファトが角田の引き手を両手で1度切り、離れた後に急いで間合いを詰め内股を仕掛けたが、主審が「待て」の合図。両手で切った行為が、「組み合わない」の判断で「指導」を宣告された。敗れたバブルファトは猛抗議したが判定は覆らず。ネット上では「角田選手が勝ったのはうれしいが、最後の指導はよくわからない」、「組み手を切った程度で指導を出されたら、柔道そのものが変わってしまう」などのコメントが見られた。

暮らしとモノ班 for promotion
【10%オフクーポン配布中】Amazonのファッションセールで今すぐ大活躍する夏のワンピやトップスを手に入れよう!
次のページ
「今のままではファンが離れますよ」