「滅茶苦茶いい経験をさせてもらっていると感じています。昨年は人生で一番多くの人と会ってお話しました。他分野の人たちからお話を聞くのは楽しいですし、こういう考え方もあるんだな、という発見も多かったです」

 川端さんにとって好きなことを究めるとは、どういうことなのか。

「もちろん女子野球を広めなきゃっていう強い思いはありますが、使命感や義務感ではなく、そこに『好き』が付いているからこそ続けられているんだと思います。無我夢中で気づいたらチームまで作っていた、っていう感じです」

 これまでは野球に専念できる環境を周囲に与えてもらっていた。これからは誰かが作った器に乗っかるのではなく、道を切り開く役割を担うつもりだ。川端さんは言う。

「『好き』をあきらめずにきて得たものは、人っていう宝ですね。同じ志を持つ人たちと出会えたのが何よりも大きな喜びです」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年4月10日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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