鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 人や周りに対してうまく興味を持てず、人間関係の築き方がわからないという23歳女性。母との会話をきっかけに、周囲に興味を持たない自分自身が楽をしていたことに気が付いたという。そんな女性に、鴻上尚史が贈った「自分を否定することをやめるべき」というアドバイスの真意とは。

【相談227】

 周りの人に興味が持てず、人間関係の築き方がわかりません(23歳 女性 りりか)

 鴻上先生はじめまして、今回初めて投稿します。

 私は23歳の女性です。

 高校生のときに鴻上先生の本と出会って、鴻上先生の考え方にとても影響を受けました。

 私の悩みは、人や周りに対してうまく興味を持てないということです。私は昔から感情表現が苦手です。そもそも、自分の考えがなくて、他人にこれどう思う?って聞かれてもうまく答えられません。人や周りに対して、鈍感なのか、小さなことでも感動したり、自然と興味を持つっていう体験が少ない気がします。周りの人からは何を考えてるかわからないとよく言われます。

 波長が合う人は別として、人とそもそも何を話したらいいかわかりません。そのことを母に話したら、「人と何を話したらいいかわからないと、あなたはいつもそう言うけど、目の前の人に興味を持っていないだけ。本当に興味を持とうと努力すれば何だって話題にできる」と言われました。人に興味がないということは、ずっと気づいてはいましたが、今まで本当に向き合ったことがありませんでした。

 私はいつも自分の殻に閉じこもっていて、他人とちゃんとコミュニケーションを取ってこなかったせいか、人間関係の築き方もわかりません。

 きっと、周囲に興味を持たない分、自分自身が楽をしていたんだと思います。

 小さなことに興味を持ったり感動したり、人と自然に交流できる人が羨ましいです。

 そういう人を人間らしいと言うのかもしれません。

 どうすれば人間らしく、好奇心や興味を持って、人と接することができるのでしょうか?

 何か一言でもアドバイス頂ければ幸いです。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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