楽天を日本一にさせた田中将大(中央)。翌年、ヤンキースに移籍した

チームを日本一にして海を渡った大谷、山本、田中

 メジャーでプレーしたいという夢は尊重されるべきだが、野球はチームスポーツだ。大谷翔平日本ハムで投打の二刀流で前人未到の領域を切り拓き、16年の日本一に貢献した。山本由伸(ドジャース)は史上初の3年連続「投手4冠」の偉業を達成し、チームをリーグ3連覇と22年の日本一に導いてアメリカに渡っている。

 名門・ヤンキースで6年連続2ケタ勝利をマークした田中将大楽天)も、メジャー挑戦前に、最高の置き土産を残している。13年に楽天で24勝0敗1セーブ、防御率1.27と驚異的な成績を残し、球団創設初の日本一の立役者になった。リーグ優勝を飾ったチーム全体の貯金が23だったことを考えると、田中の大活躍がなければ頂点に立てなかった。

 ロッテOBは「大谷、山本、田中が23歳の時と比べて、佐々木はまだまだフィジカルが弱い。メジャー契約が認められる25歳での挑戦でもタイミングとして早いかなと感じます。佐々木の周囲で早期のメジャー挑戦を訴えている人たちは、本気で彼の野球人生を考えているか疑問を感じます。日本でもまともに1軍で投げられていないのに、肩、肘に負荷がかかるメジャーでプレーしても早い段階で故障する危険性が高い」と警鐘を鳴らす。

 佐々木の勇姿を1軍のマウンドで早く見たい。球界の宝が「ヒール役」になることは、誰も望んでいない。

(今川秀悟)